2026年度「政府予算に対する要求と提言」中央省庁への要請を実施

【連合北海道・政策情報No.9(2025年8月18日)】

2025年8月7日(木)9:00~12:30、連合北海道は衆議院第2議員会館1F「多目的会議室」にて6省庁(農水省・国交省・経産省・文科省・こども家庭庁・厚労省)に対し要請書を手交し意見交換を実施した。なお、前日には道下大樹衆議院議員(連合北海道国会議員団会議・幹事長)の秘書とともに参議院別館にある8省庁(内閣官房・内閣府・デジタル庁・総務省・法務省・外務省・環境省・防衛省)の国会連絡調整室をまわり要請書の提出を行った上で、9月10日までに回答するよう求めた。

連合北海道「2026年度政府予算に対する『要求と提言』」は、①良質な雇用創出と定着、②地域産業の振興及び観光の推進、③地域公共交通の確保、④エネルギー・環境政策、⑤社会保障制度、⑥防災関連、⑦自治体財政、⑧消費社会、⑨ジェンダー平等、⑩教育、⑪平和、⑫人権など12の大項目、14府省庁140要望項目総数で構成し、その内、重点要望項目数が10府省庁63項目、意見交換項目数が6省庁39項目とした。

須間会長から徳永エリ・連合北海道国会議員団会議会長へ要請書手交

中央省庁要請の前段(8:30~8:55)、連合北海道は同会議室において、連合北海道国会議員団(徳永エリ参議、道下大樹衆議、逢坂誠二衆議、松木謙公衆議、神谷裕衆議、石川香織衆議、山岡達丸衆議、池田真紀衆議、西川将人衆議、荒井優衆議、川原田英世衆議、篠田奈保子衆議、臼木秀剛衆議、勝部賢志参議、岸真紀子参議の15名の議員が参加)に対し、要請書を手交した後、連合北海道の永田重人総合政策局長が中央省庁要請の流れなどについて説明をした。

続いて、中央省庁への要請では冒頭、須間会長から各省庁に要請書を手交後、道下大樹衆議の進行のもと、事前送付のあった各省庁からの1次回答を踏まえて、永田総合政策局長や議員が再指摘をした後、各省庁の回答を求めた。
農水省に対しては、①スマート農業と農業・農村づくりの推進のほか、②食料の安定供給と新規就農促進及び担い手の育成について要請した。
また、国交省には、①道内空港への就航増便に伴う人材確保をはじめ、②国が進めるライドシェアの検討や利用者への安全・安心について、③地域公共交通への補助金の見直し、④黄色線区の「抜本的な改善方策」策定促進とJRから経営分離される函館・長万部間の維持促進、⑤「国際観光旅客税」を財源とした観光地の駐車場整備や空港出入国手続きの効率化、⑥物流輸送の省力化・効率化・環境負荷軽減とモーダルシフトの周知徹底、⑦フェリー・旅客船の維持・存続に向けた支援について要請を行った。

省庁との要請書手交および意見交換の様子

さらに、経産省に対しては、①賃上げ促進税制の活用促進や、②温室効果ガスのカーボンクレジット化、③買い物や通院に伴う交通インフラの整備及び支援、④高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定、⑤再エネ立地における地域への説明・同意に向けた体制づくりについて議論した。
次に文科省では、①不登校の児童生徒対策及び学習指導要領改訂とICT環境整備、②学校や家庭以外の居場所や学びの場の充実と相談体制の充実、③学校給食費の全国一律支援制度の創出、④障がい児等の通学支援体制の整備、⑤小中高の「30人以下学級」早期実現と法改正による教職員定数の改善、⑥カリキュラムオーバーロードや学習指導要領の見直し、⑦ICT環境に関連する経費の予算化とICT支援員の配置による端末の利活用推進について要請した。
内閣府こども家庭庁に対しては、①児童養護施設の児童指導員等の処遇改善とケアリーバー支援体制の確立、②保育士の配置基準の見直しと処遇改善手当分が繫がるルール等の構築、③「こども誰でも通園制度」の受け皿確保と保育現場の負担軽減について、④学校や家庭以外の居場所や学びの場・相談体制の充実について指摘した。
最後に、厚労省に対しては、①介護職員の処遇改善による人材確保や、②労務費の価格転嫁に係る指針の周知徹底と取引適正化の強化、③児童養護施設の児童指導員等の処遇改善とケアリーバー支援体制の確立、④介護休業の期間拡充・制度の周知の義務づけ及び常時要介護の判断基準の周知、⑤ジョブ型雇用の適正な運用について、⑥「中小企業退職金共済制度」の加入要件等の拡大・制度見直しと「総合型確定給付企業年金」の運営指導の強化、⑦オンライン診療の推進とジェネリック医薬品利用拡大による保険料負担軽減、⑧訪問介護の基本報酬見直しと介護報酬上の2人以上訪問加算への支援、⑨医療保険制度改革に伴う保険者機能の発揮に着目した改革推進と医療DXの推進、⑩正規雇用でも子育てしながら働きやすい雇用環境創出の拡充、⑪介護職員・介護支援専門員の処遇改善と研修への支援・教育訓練給付制度の適用、⑫介護サービス基盤や介護現場の生産性向上を図るための施策に向けた働きかけ、⑬身寄りのない高齢者の身元保証人の支援と「高齢者等終身サポートガイドライン」の見直し、⑭誰もが安心して受けられる地域医療の確保に向けた財政支援や診療報酬の改善について意見交換を実施した。

意見交換の場において、徳永エリ参議は「スマート農業機材は高額なうえ、アウトソーシングにも経費がかかる。特に北海道は広域のため農業機材の移動にも経費がかかる。このような観点から地域性に伴って農業支援サービスの受託経費に差異が生じないよう支援策を講じるべき」とし、「高齢者等終身サポートガイドライン」については「契約違反など行う悪質事業者に歯止めがかかるガイドラインにすべき」と語気を強めた。また、逢坂誠二衆議は①農業支援サービスの予算総額に対する支出額をはじめ、②バス事業者が自社でかかる経費の試算額や、③教員と児童生徒に対する「余白」の持ち方や教員の人材確保、④訪問介護の事業者の総数減少、⑤児童養護施設の児童指導員等の賃金に係る妥当性の有無などについて指摘した。勝部賢志参議は「週あたりのコマ数というよりも『週数35週』という指定をなくすべき」などと発言した。岸真紀子参議は「2026年度から『こども誰でも通園制度』が実施されることになっているものの、保育士の人手不足が悪化する懸念がある。加えて、在園児と同室の保育となる場合の保育環境のリスクを見定める必要性が生じる可能性もあり得る」と現場の不安な声を代弁するなど、活発な意見交換が行われた。

以上