2026年度「道政に対する要求と提言」北海道への要請を実施

【連合北海道・政策情報No.10(2025年8月21日)】

連合北海道は2025年8月21日(木)10:00~10:40、鈴木直道・北海道知事に対する要請を実施し、道庁副知事応接室にて、三橋副知事に対し「2026年度 道政に対する要求と提言」と題した要請書を手交した。

和田事務局長から三橋副知事へ要請書手交

「2026年度 道政に対する要求と提言」に関する要請書については、①良質な雇用創出と定着、②地域産業の振興及び観光の推進、③地域公共交通の確保、④エネルギー・環境政策、⑤社会保障制度、⑥防災関連、⑦自治体財政、⑧消費社会、⑨ジェンダー平等、⑩教育、⑪平和、⑫人権など全177項目の要請項目数となっており、その内、新規が17項目、修正が68項目、道単独の要請項目が56項目の構成となっている。なお、すべての要請項目に対し、9月19日(金)までに回答するよう要請した。

和田事務局長の挨拶

冒頭、三橋副知事に要請書を手交した後、連合北海道・和田事務局長が「日頃より道民の生活や福祉の向上にご尽力いただいている北海道庁に対して、心から敬意と感謝を申し上げたい。北海道の経済については、先ごろより、道銀や総研など様々な機関から年の中間の経済状況が発出されており、道内の総生産は0.5%プラス、持ち直し基調は『持続見通し』となっている。設備投資については、ラピダスなどを中心に意欲的な状況であるが、個人消費については、消費者物価の上昇やインフレという問題も拭えず、消費者である働く者にその恩恵が届いていない状況にある。そうした中で先日、10月4日に発効となる北海道の最低賃金が1,075円で決定したということで、中央最賃の目安を2円上回るという前向きな結果となった。しかしながら、1,075円の時給で法定労働時間内働いたとしても年収224万くらいにしかならない。製造業が少なく、1次産業やサービス産業に頼っている道内産業においては、札幌市を除く地方が経済的にも追いついていない状況にある。経済政策はもとより、労働者政策について北海道知事のリーダーシップを求めていきたい。道内における将来的な人口減少や人材不足が課題として挙げられるが、中小企業を中心とした価格転嫁も喫緊の課題となることから、ぜひ北海道庁としてもご尽力いただきたい」と挨拶した。

次に、今回の要請趣旨を説明するにあたり、連合北海道・永田総合政策局長が「昨今の地球温暖化の影響による猛暑や豪雨などの災害の多発、アベノミクスの失敗によって円安が進んだこと、トランプ関税、コメをはじめとする食料品価格上昇による消費マインドの低迷、物価高による消費の腰折れや人手不足、人件費などのコスト増加に対する懸念など、多くの課題が山積している。道内においては急速な超少子化・人口減少に直面しており、2030年に生産年齢人口が約5割に減少する一方で、高齢化率は約4割と推計されている。また、道内の合計特殊出生率は、全国水準と比べて極めて低い値であり、出生率の向上にあたっては、経済的安定と仕事と子育ての両立などのライフステージに応じた切れ目のない支援が喫緊の課題となる。さらに、若者・女性・高齢者の道内就職率は、全国平均を下回っている。物価高に負けない賃上げを実現するためには、労務費の価格転嫁ができる環境整備などの取り組みが重要となることから道としての対策を要請したい。加えて、人手不足に対応した産業・雇用の創出、リスキリングなどによる能力向上支援や労働者の人材育成、多様な人材が活躍できる環境整備を図ることが、道に求められている」と強調した。

要請趣旨を説明する永田総合政策局長

その上で、①「物価高緊急経済対策」の支援内容をはじめ、②道独自の介護職員の処遇改善施策、③リファラル採用とオンライン採用など看護師不足の解消策、④外国人労働者の受け入れ企業に対する労働法令の遵守、⑤非正規雇用労働者の正規化を促進し安定した人材確保、⑥公益通報の課題、⑦保育士の処遇改善加算の増額や保育士の配置基準の見直し、⑧学童保育の職員の処遇改善、⑨カスタマーハラスメント対策、⑩次世代半導体等関連産業の課題解決と振興、⑪道が導入する「宿泊税」についてオーバーツーリズム、自治体事務の繁雑化懸念への対策、⑫全道域でのバス運転手確保に向けた施策の具体化、⑬北海道新幹線の札幌開業時期及び「国鉄清算事業団債務等処理法」の2030年度末での期限切れの延長、⑭「交通弱者」「買物弱者」対策、⑮物流業界の多頻度小口輸送の進展、⑯寿都・神恵内の核のゴミの「概要調査」に反対する国への表明、⑰「こども誰でも通園制度」の本格実施に向けや受け皿の確保や保育現場の負担軽減を含めた改善策、⑱不登校児童生徒を対象に学校外でも定期テスト等が受けられ成績に反映できる体制、⑲「病児・病後児保育体制」の整備、⑳地域医療の確保に向けた財政支援や診療報酬の改定、㉑「地方交付税の算定方法」の改善、㉒カリキュラム・オーバーロードや教職員の超勤・多忙化の解消、㉓ICT支援員の効果的な配置など、要請項目の概要を説明した。

連合北海道の要請趣旨に対し挨拶する三橋副知事

次いで、連合北海道の要請趣旨を踏まえた上で、三橋副知事が「本日177項目ということで多岐にわたる要望をいただいた。1項目ずつ、しっかりと精査して検討させていただきたい。道内の経済・雇用情勢については、建設や介護といった業種をはじめ、様々な業種で人手不足が深刻化しており、人材確保が重要な課題となる。道民の生活という部分では物価高騰が長期化し、厳しさが増していると認識している。北海道庁としては、女性や高齢者の労働参加への支援、道外も含めた人材の誘致、働き方改革の推進を柱として雇用対策を進めている。本年1月には北海道政労使会議を開催し、そこにおける共同宣言をもとに、最低賃金審議会の動向も踏まえながら、企業における生産性向上や取引の適正化といった観点にも取り組み、物価上昇を上回る賃上げに向けた取り組みを進めてまいりたい。加えて、北海道カスタマーハラスメント防止条例のもとで相談体制の整備、普及啓発など労働者が安心して働くことのできる環境づくりに取り組んでいきたい。産業政策面では、食と観光といった道内の基幹産業に加えて、GX・DXといった北海道のポテンシャルや特性を活かせる分野の振興にも取り組みを進め、北海道の産業競争力を高めて、道内で働きたいと思えるような産業振興を進めてまいりたい。また、『こどもまんなか社会』への実現の取り組みなどを通じて、道民ひとりひとりが豊かで安心して暮らすことのできる全道的な地域づくりを展開してまいりたい。今回、連合北海道から提言いただいた内容は、雇用問題だけでなく、地域交通やエネルギー、社会保障など道政全般の重要課題について要請いただいたと認識している。今後とも労働界をはじめ、関係の方々と連携を図り、道民の雇用安定に向けて取り組みを進めてまいりたい」と述べた。

最後に、和田事務局長が「安倍政権時代、地方自治体が自由に使える地方交付税の財源を奪って、国の関与が可能となる地方創生事業がスタートしたと記憶している。いまは、かなり改善されているものの、地方交付税の確保は喫緊の課題である。本日説明させていただいた要請内容はすべて、自治体に関わる予算に付いてまわるものと認識している。地方交付税の獲得については、道内179市町村をはじめ、北海道庁においても北海道の予算を潤沢にすることが非常に重要となることから、北海道知事のリーダーシップを発揮していただきたい」と述べ、締めくくった。

以上