泊原子力発電所3号機の再稼働に関する談話

2025年12月11日
日本労働組合総連合会北海道連合会
事務局長 和田 英浩

1.2025年12月10日、鈴木直道・北海道知事(以下、鈴木知事という)は道議会の予算特別委員会において、北海道電力が2027年早期の再稼働を目指す泊原子力発電所3号機について、再稼働に同意すると判断した。泊原子力発電所3号機は、2009年に運転を開始し2012年に運転停止して以降、北海道電力が2013年7月に原子力規制委員会に安全審査を申請してから12年経過した今年7月、審査合格を示す「審査書」が正式決定された。これを受け鈴木知事は、国の新規制基準に適合していることを再稼働容認の理由のひとつとしたほか、周辺立地4町村の同意が得られたことや、再稼働で道内の電気料金の値下げが見込まれること、脱炭素電源で道内経済の成長につながることなどを同意の理由としている。

2.周辺立地4町村(泊村・共和町・岩内町・神恵内村)の同意表明が鈴木知事の判断の焦点とされていたが、現状では道民の懸念や不安が解消されているとは言い難い。今後起こり得る自然災害に伴う実効的な広域避難計画や、発電所敷地外の新港建設、使用済み核燃料の貯蔵容量の限度、バックエンドなどの課題が山積していることから、道民の不安が払拭できぬまま鈴木知事が同意することは拙速であると言わざるを得ない。

3.東日本大震災による原子炉事故により、福島第一原子力発電所から概ね160㎞圏(道内に置き換えれば石狩・空知・留萌・檜山・渡島管内ほぼ全域)の地表面にも放射性物質(セシウム)の沈着があった事実を踏まえて、道内の広域な避難計画を含む地域防災計画の策定や、北海道の基幹産業である第1次産業の風評被害の対応策をはじめ、泊原子力発電所敷地外に核燃料の輸送船が使う新港建設などの課題について、道民に対し公正な情報公開を行い、道民の理解・納得を得るべきである。そのうえで、道民の合意形成を最優先に、鈴木知事は泊原子力発電所3号機の再稼働に関わる判断を行うべきである。

4.連合北海道は、この間、定期大会等で確認した「原発は過渡的エネルギーであると位置付け、安全運転、防災体制、情報公開を求める一方で、脱原発、省エネ、新エネなどを推進する立場から、積極的な政策・提言活動や道民運動に取り組むこととする」との考えを堅持したうえで、電力の安定供給とカーボンニュートラルの両立をめざし、公正な情報公開のもと再稼働に向けた諸課題に対する道民の理解・納得の合意形成を重視していく。連合北海道は、引き続き原子力へのエネルギー依存度を徐々に低減し、最終的には原子力に依存しない社会を目指して運動を展開していく。

以上

 

PDF版はこちら