一般労働者のQ&A

Q1. 就業規則を見せてほしいと頼んだら、「うちにはない」といわれた
A1. 規模10人以上の事業場には作成・届出義務がある

ポイント

規模10人以上の事業場には作成・届出義務がある。制定・変更にあたっては労働者代表の意見聴取義務があり、その就業規則を従業員に周知しなければならない。
【労基法第89条・90条・106条】

Q2. パートの仕事に就いたとき、口頭で告げられた時間給と違っていた
A2. 採用時に時間給を書面で交付しなければならない

ポイント

労働条件の明示(賃金・労働時間等に関する事項については書面による明示)が義務づけられている。
パートも同じ。
【労基法第15条】

Q3. 有期雇用の3年契約で働いている。2年経過後、契約解除すると言われた
A3. 3年の有期契約の場合、使用者からの契約解除はできない

ポイント

1年を超える期間の定めのある労働契約についてはその期間の上限は原則3年。
特別の例外として専門的知識・技術者等および60歳以上の高齢者との労働契約に限り上限は5年。
【労基法第14条】

Q4. 千円未満の端数が互助会費として天引きされる
A4. 法令に定めのある場合や控除協定がない限り賃金からの控除はできない

ポイント

賃金支払の5原則が定められており、一方的な賃金からの控除は全額払の原則に反し許されない。
適法に行なうには控除協定の締結が必要である。
【労基法第24条】

Q5. 週休二日制で休日の土曜日に出勤したが割増率が25%で計算された
A5. 労基法上35%以上の割増率が求められるのは、法定休日の労働である

ポイント

変形労働時間制による場合を除き、1日・1週の法定労働時間を超えた労働が時間外労働であり、法定休日は割増賃金(35%・25%)の違いからあらかじめ定めなければならない。
労基法は最低基準であり、労使で法を上回る取扱いを定めたときは、それによる。
【労基法第37条】

Q6. 会社の指示で年長者が36協定に署名し、残業をしている(組合なし)
A6. 過半数代表者は民主的手続で選出されることが必要である

ポイント

労使協定の労働者側当事者は、過半数組合がある場合はその組合、ない場合は過半数を代表する者となる。過半数代表者は、管理・監督者であってはならず、その適格性と選出方法に注意を要する。
【労基法第41条】

Q7. 月25時間で36協定を結んでいるが、会社から50時間の協定を提案された
A7. 一般的に月の限度は45時間。特別条項付き協定を結ぶ必要があるが詳細な検討が必要。

ポイント

時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめられるべきものである。
36協定及び特別条項付き協定を結ぶ場合は、長時間労働が労働者の生活と健康に大きな影響を及ぼすこと、とりわけ特別条項付き協定で定める「特別延長時間」については限度となる時間の定めはなく、労使の自主的協議に委ねられていることに留意して、できるだけ対象労働者を限定し、適正な制限時間の設定に努める必要がある。

Q8. 改装期間中は出勤しなくてよいといわれ、賃金が支払われなかった
A8. 使用者の都合による休業の場合は、休業手当の支払を要する

ポイント

使用者の責に帰すべき事由により休業する場合は、休業期間中は平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならない。
【労基法第26条】

Q9. 建設業で従業員50人の営業所の法定労働時間は
A9. 1日8時間・週40時間であり、これを超える部分は原則として時間外労働となる

ポイント

小規模事業場に係る特例を除き、週40時間制が全面適用。
【労基法第32条】

Q10. 仕事量に応じて週末に翌週の勤務時間割が指示される(部品加工業)
A10. 適法な変形労働時間制ではない

ポイント

変形労働時間制の採用・実施に当たっては要件が定められており、使用者が業務の都合によって任意に勤務時間を変更することはできない。

Q11. 社外作業で残業しても定額の手当で支払われる
A11. 適切な時間管理が求められ、時間外労働に対しては割増賃金の正当な計算・支払を要する

ポイント

事業場外労働で労働時間の算定が困難な場合は、みなし労働時間制を適用できるが、その場合でもすべて法定の取扱いを要する。
設問のように、現実に行われた時間外労働に対する割増賃金を定額で支払うことは許されない。

Q12. インテリアデザインナーで年俸制です 残業をしても「裁量労働だから出さない」と言われた
A12. デザインの仕事でも、上司の指示で業務を遂行する場合は裁量労働ではありません

ポイント

裁量労働制とは、労働者を対象とする業務に就かせ労働者に時間配分や仕事をゆだねた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度(みなし労働時間制)。
専門業務型裁量労働制(デザイナー、システムエンジニア等、専門的な業務に就く者が対象)と企画業務型裁量労働制(事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象)があり、各制度の導入に当たっては労使協定や労使委員会の決議、届け出義務などが決められている。
【労基法第38条】

Q13. 休憩時間中の外出が許可制になっている
A13. 休憩時間の自由利用の原則に抵触しない運用が望まれる

ポイント

休憩時間の自由利用の原則が定められている。休憩時間中の外出を許可制とする場合には、運用の如何によってこの原則に抵触するおそれも生じる。
【労基法第34条】

Q14. 休日振替に応じなければならないか
A14. 適法な休日振替であれば従業員の同意を要しない

ポイント

休日振替を行うには、(1)就業規則等に業務の都合で休日振替を行う旨の定めがあり、(2)予め振替によって休日となる日を特定することが必要である。この場合でも、1週1回又は4週4日の休日(法定休日)の確保を要する。

Q15. 1日3時間しか働いていないが、年休を取ることはできるか
A15. パートや派遣労働者の場合も、勤務日数に応じて年休を取れる

ポイント

年休は、(1)継続勤務(雇入れの日から6か月間、以後1年間)と(2)出勤率(全労働日の8割以上の出勤)の2つの要件を満たせば、最低10日が付与される。
パート労働者にも、所定労働時間・日数に応じて比例付与される。
付与日数は下図参照。

Q16. 職業安定所の募集では「退職金あり」だったのに実際は支払われなかった
A16. 就業規則を確かめて会社側と交渉を

ポイント

就業規則等で規定があるか職場慣行があり、その要件に該当する場合には、退職金を支払う義務が生じる。

Q17. 減給処分としてボーナスが減額された
A17. 就業規則の定めがあれば違法ではないが、制限がある

ポイント

就業規則において賞与を減給制裁の対象とする旨の定めがあれば違法ではないが、賞与も賃金であるから減給制裁の制限規定が適用される。
【労基法第91条】

Q18. 「勤務成績が悪い」という理由で解雇を通告された
A18. 退職する意思がない場合は、はっきりと意思表示を

ポイント

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効(第18条の2)
労基法上の手続としては、少なくとも30日前にその予告をするか、予告をしないときは平均賃金の30日分以上の支払いを要する。

Q19. 業績不振で事実上倒産。2か月分の給料を残して退職した
A19. 賃確法による立替払を請求する

ポイント

「未払賃金の立替払制度」は、企業が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、その未払賃金の一定範囲について、労働福祉事業団が事業主に代わって立替払するものである。(賃確法<賃金の支払の確保等に関する法律>第7条)

Q20. 派遣契約の労働時間内に業務が終わらなかったため、派遣先で残業を命じられたが
A20. 派遣先での時間外労働には要件が求められ、要件を欠く場合には命じられない

ポイント

派遣先が派遣労働者に時間外労働をさせる場合には、(1)派遣元における36協定の締結・届出、(2)派遣元就業規則におけるその旨の記載、(3)雇用契約に際し明示された就業条件にその旨の条項があること、(4)派遣元派遣先間の派遣契約にその旨の規定があること、が要件となる。

Q21. 仕事で負傷したが、パートは労災扱いはしないといわれた
A21. 雇用形態の如何を問わず、労災保険の適用がある

ポイント

労災保険は、原則として全産業・全事業所が強制加入であり、身分や形態に関係なく、雇用される労働者全員が適用対象となる。
【労災保険法第3条】

Q22. パートでも雇用保険に加入できるか
A22. 反復継続に就労し、週の所定労働時間が20時間以上であれば被保険者となる

ポイント

一部を除き、労働者を一人でも雇っていれば、事業主は労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が義務づけられており、要件を満たす場合、パートであっても被保険者となる。

Q23. パートでも社会保険に加入できるか
A23. 一定の要件を満たす場合には加入が義務づけられる

ポイント

健康保険、厚生年金保険は、常時5人以上が従事する個人事業所(飲食業、サービス業、農業、漁業などを除く)とすべての法人事業所は強制適用である(健康保険法第13条、厚生年金保険法第6条・第9条)。
パートについても、所定労働時間・月の労働日数がその事業所で同種の義務を行う一般労働者のおおむね4分の3以上であれば、加入が義務づけられる。
また、40歳以上は介護保険への強制加入となり、その保険料が、健康保険料に加えて、徴収される。

Q24. パート収入の非課税限度額は
A24. 年収 103万円を超えると所得税が課税される
Q25. 育児休業期間の年休出勤率計算はどうなるか
A25. 出勤したものとして取り扱われる

ポイント

育児・介護休業の期間は、年休の付与要件に当たっては、出勤したものとして取り扱われる(労基法第39条7項)。
なお、休業期間中の賃金の有給・無給の別などの取扱いは、労使の話し合いによる。

Q26. 妊娠しました。時間外労働があって仕事がつらい
A26. 妊産婦が請求した場合は時間外・休日労働・深夜業はさせてはならない

ポイント

男女雇用機会均等法、労働基準法によって妊娠中及び産後1年を経過していない女性(妊産婦)にたいする健康管理や時間外労働の制限、業務転換、産前産後休業などが決められている。

Q27. セクシュアル・ハラスメントの被害を受けている
A27. 会社に相談窓口があればそこへ、ない時は雇用均等質に相談を もちろん労働組合にセクハラ担当者がいればそこに相談を

ポイント

男女雇用期間均等法は事業主「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上」の配慮義務を規定(均等法第21条)し、事業主が配慮すべき事項についての指針を定めている。