平成25年度北海道最低賃金改正に関する談話

連合北海道事務局長 出村 良平

北海道地方最低賃金審議会は、8月21日18時過ぎ、平成25年北海道の最低賃金を現行の719円から15円引き上げ、734円に改正し、10月18日から発効することで結審した。
地域最低賃金は、北海道の低賃金構造を改善し、「働く貧困層=ワーキングプア」の解消のためのセイフティーネットの一つとして最も重要なものである。
本年度の北海道地方最低賃金審議会は、現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、「経済財政運営と改革の基本方針」及び「日本再興戦略」に配意した調査審議を諮問されたが、公労使三者の真摯な議論を重視する姿勢を明確に打ち出してスタートした。
本年の審議に当たって労働者側は、諮問内容を重く受け止め、今後、物価上昇のもとで、特に低所得層(200万円以下の労働者が23%)への十分な配慮が必要であること。「生活保護とのかい離額を5年以内で解消する」と合意した期間が既に過ぎていることから本年度で生活保護費とのかい離22円を解消し、加えて働く者が経済的に自立可能な水準への改定を強く求め、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けた道筋を付けることを強調した。
これに対し使用者側は、政府方針を重視し過ぎることなく、一定程度の配慮にとどめるべきであることや、近年の特異な最賃引き上げ率を持ち出して、個別企業の支払い能力の限界を強調し、また、生活保護も「逃げ水」の状況が続いており、かい離解消は柔軟に対応すべきと主張した。
労働側委員は、「北海道だけが、労働の対価としての賃金が生活保護費以下であってはならないこと」「北海道の非正規労働者の比率が42.8%にも及んでおり、その内、3分の1が主たる生計者であることを重視すること」など、大幅引き上げに向けて、最低賃金のあるべき水準の議論を尽くし、本年度でのかい離解消に最大限努めるよう主張した。
しかし、本年度は平成24年度生活保護水準の見直しに伴い、かい離額が16円から22円に拡がったことや、「中賃目安」が「11円~22円、2年以内の速やかな解消」と幅のある表現の捉え方を巡って、審議会議論は激しいやり取りとなり、発効日も昨年同様、大幅に遅れる状況となった。
労使譲らず激しい審議が続く中、公益委員から「中賃目安などを考慮する必要もあり、15円の引き上げと生活保護費とのかい離を来年度で解消する」と提案があった。労働側は、引き上げに伴う影響率がパートに至っては33.1%と労働者に与える影響が極めて大きいこと、来年のかい離解消が担保されたとの判断をもって、三者合意には至らなかったが、労働側が公益案に賛成することで結審に至った。
今年は、5月20日から1ヶ月かけて「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」全道キャラバン行動を取り組んだ。「最低賃金の引き上げによって賃金全体の底上げを図る」「国民が安心して暮らせる社会をつくる」ことを主張し、全道106箇所で街頭宣伝活動等を実施し、審議会会長宛のFAX要請(約420団体)、労働局前での昼休み集会、札幌駅前「早朝街宣行動」などを展開し、道民世論の喚起に向けた取り組みに全力をあげてきた。
今回の改定額は、労働側が主張してきた本年度で生活保護とのかい離解消という要求からして、決して満足のできる改定額とは言えないが、15円は過去最高の引き上げ額であり、また、引き上げ率2.09%も過去最高となった。非正規労働者が沖縄県に次いで高く、引き上げに伴い3割以上の労働者に影響を与えることや、生活保護費とのかい離を来年度で解消する答申が出されたことなどを総合的に考慮すると一定評価できるものと言える。
地域別最低賃金の闘いは一定収束を図ることとするが、引き続く、特定(産業別)最低賃金の引き上げと、残された生活保護とのかい離解消はもとより、雇用戦略対話合意の800円、1,000円への引き上げに向けて、改正された最低賃金の履行確保を求めていく。
この取り組みに結集された産別・単組、地協・地区連合、関係各位のご協力に感謝し、引き続き、最低賃金の大幅引き上げに向けて、今後も全力を挙げるとともに、その遵守を求めていく。