日本のTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加表明に関する談話

日本労働組合総連合会北海道連合会
事務局長  出村 良平

野田総理は11月11日夜、12日から米国で開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議でTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加に向けて関係国と協議に入ることを表明した。

TPP参加判断については、民主党の経済連携プロジェクトチーム(PT)において論議され、11月9日の総会において交渉参加については「時期尚早・表明すべきでない」とする意見と「表明すべき」との両論があったが、前者の立場に立つ発言が多くなされた。

連合北海道はこれまでTPPに対する考え方として、情報を開示し国民論議を求めてきた。また、地域に暮らす生産者・勤労者の視点から経済・社会・雇用への影響や農業の役割について政府の統一的な考えを明確にしたうえで、参加判断については「拙速な対応はしない、慎重な判断をする」ことを求めてきた。

しかしながら、国民への情報提供はほとんど行われておらず、農業のみならず、医療・保険といった国民生活に密接に関わる課題についても国民の疑問に応える説明を尽しているとはいえない。また、国民的論議も深まっているとは言えず、各界各層からの意見聴取も十分ではなく、与党PT内論議においての参加判断が二分する中での交渉参加表明は拙速のそしりを免れない。

連合北海道は今後、野田首相のTPPへの交渉参加表明に伴い、国民に対し各分野に亘る詳細な情報提供を行い、国民各層および地域の意見を聞いたうえで、何を守り、何を開放するのか明らかにするよう求めていく。各国との交渉においては、何よりも国民の利益を最大限追求し、外圧に屈することなく、粘り強い交渉を続け、毅然とした対応を求めていく。

特に北海道における農業・第一次産業は基幹産業であり、食品加工・運輸をはじめとして多くの労働者が従事しており、TPP参加による地域の経済や社会を支える基盤が大きく損なわれることが懸念される。自由貿易体制の下でも国民の食を支え、環境と共生する持続可能な社会を目指す国々は、農林漁業の安定的経営を農業政策の根本に据えている。
わが国においても長期的に国際競争に耐えうる農業農村政策を構築し、農林漁業の育成に全力で取り組むことを求めていく。

以上