衆院平和安全法制特別委の安保法案強行採決に対する談話

2015年7月15日

事務局長 出村 良平

安倍政権は本日、衆院平和安全法制特別委員会で、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定を背景に、平和安全法制整備法案と国際平和支援法案の安全保障関連2法案を数の力で強行採決した。世論調査では、法案に対する政府の説明不足が8割、今国会中での成立は6割の国民が反対している。こうした歴史的暴挙となる国民不在の独裁的政治に、満身の怒りを込めて抗議する。

歴代内閣は、集団的自衛権について憲法上認められないとの見解を示してきた。これまで積み上げてきた国会論議や国民合意の経緯を無視して、憲法解釈を変更し、行使容認を閣議決定したことは、最高法規である憲法の権威や安定性を喪失させ、立憲主義を根底から否定するもので、断じて容認できるものではない。

そもそも安倍政権は、首相の私的諮問機関に過ぎない安保法制懇で、集団的自衛権行使容認の方向性を導き、日米新ガイドライン再改定の最終合意に盛り込むなど、世論を誘導してきた。また安倍首相は米国訪問で今国会中での成立に言及し、安全保障関連法案の閣議決定を行うなど、国会論議に先行して既成事実化を図り、国民を欺くなど極めて欺瞞に充ちている。

「平和安全法制整備法案」は、10本もの既存の安全保障法制を一括した法案である。また「国際平和支援法案」は、自衛隊の海外派遣を恒久化するものである。そこには、国民的論議を封じるという意図が明確に現れている。海外での武力行使を可能とし、国民の生活や生命を脅かしかねない内容を一括で国会審議する一方、「平和・安全」という表現で、その本質を覆い隠している。

政府答弁では、存立危機事態や重要影響事態の曖昧さや世界的規模の際限ない自衛隊活動内容など、安全保障関連法案の問題性が浮き彫りとなってきている。法案の不備や国民の生命や財産を脅かす指摘に対しても明確に答えず、しかも集団的自衛権を行使する事態や判断については、政府が総合的に判断するなど、憲法やこれまでの安全保障法制と齟齬をきたす、杜撰な法案であることは明らかである。

憲法審査会では、参考人として与党が推薦した憲法学者を含め、集団的自衛権は違憲との考えを示した。また、元内閣法制局長官や元最高判事も、違憲と言及している。各級議会においても、反対や慎重審議を求める意見書採択は全国で500にものぼり、北海道においても80を超えている。

集団的自衛権行使に対する節目は確実に変わった。
連合北海道は、将来にわたって禍根を残すことを決して看過することはできない。衆院平和安全法制特別委員会における安全保障関連2法案の強行採決という安倍政権の暴挙を許さず、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の閣議決定とそれに基づく関連法「改正案」や新法案の撤回と廃案を求めて、総力を上げて運動を進める。