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2013春季生活闘争・当面の取り組み(その1)
I.最近の特徴的な動向
1.安倍政権の経済財政政策
(1)政府は1月11日、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」を閣議決定した。緊急対策は、国の支出10.3兆円に地方自治体や民間企業などの負担を合わせた総事業費が20.2兆円にのぼり、その裏付けとなる2012年度補正予算は13.1兆円と、過去2番目の規模に達した。
政府は、1月28日召集の通常国会に提出し、2月上旬の成立を目指している。
(2)政府・日銀は1月22日、デフレからの早期脱却をめざし物価上昇率2%の目標を掲げる「共同声明」をまとめ、日銀は、国債買い入基金を積み増す量的金融緩和を無期限で導入することとした。しかし、この政策は、中央銀行の独立性や財政規律の面から評価が分かれるほか、設備投資の拡大や賃金上昇など実体経済の改善が伴わなければ、国際的な信用低下を招くことが懸念される。
2.経済情勢見通し
(1)新政権の金融・財政政策に期待する投資家マインドの変化から、為替相場、株式相場が変化を見せている。
(2)こうした変化や補正予算案などを織り込んで1月16日に発表されたESPフォーキャスト調査(民間エコノミストによる日本経済予測の集計調査)は、2012年度の成長率予測を実質0.99%、名目0.28%と、前月調査から0.18、0.16ポイント上方修正した。また2013年度も実質1.61%、名目1.16%とこれもやや上方修正された。
(3)安倍政権の経済政策と労使交渉
新政権がデフレからの脱却と経済成長の路線を明確に打ち出している事に対して、雇用創出と賃金の引き上げを通じて、需要不足の解消が必要不可欠であることを労使交渉の中で確認する必要がある。

II.経団連「経営労働政策委員会報告」に対する連合見解
 経団連は1月22日、「経営労働政策委員会報告(以下「経労委報告」)」を発表した。「グローバル競争が一段と厳しさを増す中、日本企業は長引く円高とデフレ、税・社会保険料などの重い負担、経済連携の遅れ、行き過ぎた温暖化対策、電力の供給不安とコスト上昇など、非常に厳しい事業環境に直面している」中で、「民間企業は・・・明確なビジョンを持ち、自らイニシアティブをとって、新たな成長の機会を切り拓くべく果敢に挑戦を続けていかなければならない」とし、「その取り組みの推進力となるのが労使間の協力である」という認識を示している。
 にもかかわらず春季生活闘争については、相変わらず総額人件費の「適切な管理」に固執し、「ベースアップを実施する余地はなく、賃金カーブの維持、あるいは定期昇給の実施の取り扱いが主要な論点になると考えられる」としている。労使間で確認済みの制度に対してさえその実施を疑問視する態度を示していることは、労使の信頼関係を揺るがしかねない。
 「企業内最低賃金協定」の締結について「慎重な対応」を求めることは、自ら述べている「自社の支払能力に即して決定」という原則からの逸脱であり、経営サイドの一方的な主張となっている。
 われわれは、日本経済の閉塞感を打破するためにも分配の歪みを是正し、すべての働く者のディーセント・ワークを確立する闘いを進めていくことを再度確認する。
(1月22日付経団連「2013年版経営労働政策委員会報告」に対する連合見解参照)

III.北海道内の経済情勢
1.道内の経済概況について、北海道経産局は、昨年9月までは「緩やかながら持ち直しの動きが続いている」と公表していたが、10月以降今日まで「概ね横ばいで推移している」に変更されている。また、個人消費についても、昨年9月までは「一部に持ち直しの動きが見られるものの、厳しい状況が続いている」であったが、10月以降は「概ね横ばい傾向」に変更された。加えて、公共工事も、昨年7月以降、「減少傾向」から「横ばい傾向」、観光・住宅建設・民間設備投資・雇用動向は、持ち直しの動きや改善しているとされているが、先行き不透明感の中で、全体的には景気回復を実感出来ない現状といえる。
2.一方、雇用情勢について、完全失業率は5.0%(7−9月)と横ばいが続くものの、有効求人倍率は、0.61倍となっており、3ヶ月連続0.6倍台と持ち直しているが、依然として全国平均0.78倍に比べて雇用をめぐる環境は厳しい状況が続いている。取りわけ、44歳以下の新規求職者割合が65%近くに上るなど、若年層、女性の就職が厳しい状況であるとともに、ここ2ヶ月(昨年10、11月)は、事業主都合による離職者が1,800人から2,300人程も発生している。
 2011年10月からスタートした「求職者支援制度」の創設等による雇用維持策も打たれているが、予断を許さない状況である。
3.特に、新規高卒者の就職内定率は、10月末42.8%(前年同月比+5.1%)、11月末60.6%(前年同月比+8.8%)と、前年同期を上回っているが、全国平均75.8%と対比すると依然厳しく、就職を望む道内高校生の約4割、3,487人(前年同期に比べ716人減少)が未定となっている。
 新規大卒者(12月1日現在:全国75.0%、北海道・東北地区73.9%:前年同期比+4.4%:東北地方の復興需要の影響)を含め多くの学生が就職未内定のまま卒業を迎える事態が懸念されることから、卒業前就職への対策が重要となる。
 以上のことから、北海道内における2013春季生活闘争を取り巻く経済・雇用環境は引き続き厳しいと言わざるを得ない。

IV.北海道の当面の闘いの進め方
1.要求提出から交渉に向けた闘いの進め方
連合北海道は、12月25日「第52回地方委員会」で確認された「2013春季生活闘争方針」に加え、次の項について補強することとする(以下省略)。
(1)賃上げ要求について
賃金制度が確立されている産別(組合)は、賃金カーブ維持分(相当分)の確保とその実施について早期に確認し、賃金の復元と格差是正を含めた給与総額の1%アップを目安に、労働条件の改善、全労働者の処遇改善のための取り組みを、方針にもとづき交渉を進めていく。
 また、賃金制度が未整備な(定昇制度がない)産別(組合)及び、これから要求を決定する中小・地場組合は、今次闘争の趣旨を踏まえた取り組みを展開するよう、指導・支援を徹底・強化する。一方、春季生活闘争改革の一環である情報開示についても、各産別の協力のもと一層の促進を図っていくこととする。
(2)要求提出と回答ゾーンへの集中化
(a)要求提出
 1月下旬から2月下旬にかけて各地協で開催予定の「地域討論集会」において、相場波及効果を高めるべく1)マスコミ対応、2)経営側への関与、3)エントリーへの働きかけ等を意思統一する。
要求について、各産別・単組は、原則として2月末までに提出し、地場中小を含め遅くとも3月末までには全ての単組が提出する。また、各単組において要求の提出ができるよう、関係産別や地域全体で加盟単組に対し、積極的に関わりを強めることとする。
(b)回答ゾーン
1月24日、連合本部の第1回中央闘争委員会が開催され、回答ゾーンが決定された。
北海道においても全国の流れに最大限合わせるべく、回答ゾーンを次のとおりとする。
3月11日(月)〜15日(金):第1先行組合回答ゾーン<最大のヤマ場:3月13日(水)〜14日(木)
3月18日(月)〜22日(金):第2先行組合回答ゾーン
3月25日(月)〜29日(金):中小集中回答ゾーン
4月中旬         :中小回答ゾーン
(c)集中回答ゾーンへの戦術配置
 回答の引き出しについて、各産別・単組は、可能な限り第1先行組合の回答ゾーン(3月11日〜15日、最大のヤマ場の中心:3月13日(水)〜14日(木))により多くの組合が集中できるよう準備と事前交渉に全力をあげる。各産業別部門連絡会議は、中核組合を中心に回答の集中化と情報の開示を積極的に行い、より波及力を高めることとする。
 4月後半以降の取り組み、地場中小の取り組みについては、産業別部門連絡会や中小・パート労働条件委員会で別途意思統一することとする。

2.産業別部門連絡会の開催について
 初期段階から集中回答日までの間に2回を目標に「産業別部門連絡会」を開催し、交渉・妥結状況について意思統一を図ることとする。特に、「パート・アルバイト・契約社員など非正規労働者の待遇改善・組織化調査(単組アンケート)」を基に意思統一を図り、前進回答を引き出すよう相互連携を強化すること。
 また、連絡会内の合意形成を図り、2013春季生活闘争へのエントリー組合数・交渉結果開示の拡大、闘争態勢・単組指導の強化に努めることとする。
 各産別は、各単組まで闘争指導を強化するとともに、地域における各種行動への参加呼びかけを強めることとする。特に、賃金・処遇に係る制度等確立に向けて、また、非正規労働者の組織化に向けては大きな課題、難しい問題も多いことから下部指導・支援体制にも万全を期すこととする。
 労働者総体の賃金・処遇改善に向けて、産別最賃・企業内最賃協定の締結など賃金・処遇に係る各種制度の充実を目指すこととする。
【産業別部門連絡会日程】
金属・機械部門  2月 9日(土)〜10日(日)      登別
資源・化学・エネルギー部門  2月 6日(水)16:00〜 連合会議室
流通・食品・建設・一般部門  2月12日(火)16:00〜 連合会議室
交通・運輸部門  2月 4日(月)16:00〜       連合会議室
情報・サービス部門  2月 7日(木)16:00〜     連合会議室
官公部門部門  2月中〜下旬

3.中小・地場共闘の推進
(1)中小・地場共闘の取り組み
 2月8日(金)に「第2回中小・パート労働条件委員会」(15:00〜連合北海道会議室)を開催する。「全労働者を対象にした春季生活闘争」を目指して当面の取り組みを提起する。特に、賃金制度確立や処遇改善に向けた制度等の確立、非正規労働者の課題についても全単組が要求化することを意思統一するとともに、「職場から始めよう運動」の展開<別掲参照>による職場における日常的なコミュニケーションを深めながら、組織化を意識した取り組みを展開することとする。
 今次闘争も経済・雇用情勢が厳しい中での取り組みとなるが、「給与総額1%の引き上げ」、「1歳・1年間差水準4,500円の確保」、「パートの時給1,000円」、「総実働時間短縮・時間外等割増率引き上げ」など、ミニマム課題も、今後開催予定の中小・パート労働条件委員会の中で意思統一を行い、それに基づいた統一的対応が重要なポイントとなることから、要求作りから交渉に至るまで産別や地域が関わりを強めることとする。
(2)エントリー登録
 昨年は、392組合のエントリー登録が行われたが、今次闘争におけるエントリー可能組合数は、約1,300組合あり、例年1/4程度のエントリー数に止まっている。
北海道方針に基づき、各構成産別(単組)段階における取り組みの強化によりエントリー組合の拡大を展開する。また、地協(地区連合)との連携も図りながら、直加盟や地域ユニオンなどの地場中小労組に対してもエントリー参加を求めながら、地場集中決戦方式への参加体制確立、地場中小への相場波及に向けて「要求・回答・妥結」について報告を求めることとする。
○ エントリー登録の報告期限(厳守)は2月28日(木)とする。

4.非正規労働者の労働条件改善に向けた取り組み
 連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、2013春季生活闘争において、「非正規労働者を含めたすべての労働者を対象とした処遇改善」を「ミニマム運動課題」のひとつに位置付け、労働組合運動の求心力を高めるとともに、交渉結果の社会的波及をめざすとしている。
 とりわけ、改正労働者派遣法・改正労働契約法は、非正規労働者に大きく関係するものであり、集団的労使関係を基盤とした実効性の確保が強く求められている。これらの課題に対して、2013春季生活闘争においては、非正規労働者の総合的な労働条件向上に向けた取り組みを促進する。
 非正規労働者は雇用労働者の4割近くとなり、自治体の公務労働においても、3人に1人が臨時・非常勤職員となっており、すべての構成産別(単組)の参加が不可欠である。
以上を踏まえ、職場における非正規労働者に関わる取り組みを促進するとともに、労働組合のない職場で働く労働者をも含めた社会的な波及と組織拡大をめざし、構成産別(単組)、地協(地区連合)、連合北海道が一体となり、「職場から始めよう運動」「官製ワーキングプアの解消と雇用の安定を求める全道統一要請行動」「非正規労働者の処遇改善に向けた要求書(要請書)提出」を始めとして、この春季生活闘争のスケジュールに合わせて以下の取り組み(行動)を展開する。
(1)「職場から始めよう運動」の展開
 「職場から始めよう運動」は、非正規労働者の処遇改善と組織化をめざし、職場組合員の理解浸透を図ることを目的に、通年的な取り組みと位置づけ展開している。2012春季生活闘争では、「非正規労働者要求実現統一行動デー」を設定し、待遇改善に向けた要請行動を展開した。
 2013春季生活闘争においては、同じ職場で働く者同士のつながりを強めるため、「職場から始めよう運動」を具体的に展開する。
《連合北海道》
(a)連合北海道は、3月上旬に、北海道(3/4で調整中)・労働局(3/5)・経済6団体(3/4)に対する要請行動を展開し、法令の周知・遵守等、非正規労働者の処遇改善を訴えていく。
(b)3月6日の連合北海道2013春季生活闘争勝利 全道総決起集会において、非正規労働者の決意表明の場を設定し、組織化の好事例について情報の共有化をはかる。
(c)各産業別部門連絡会や中小・パート労働条件委員会などの諸会議を開催し、非正規労働者の処遇改善、組織化などの取り組みの情報交換の場を設定する。
(d)連合北海道非正規労働センターと連携し、「連合・非正規労働ホットライン」の周知活動(札幌地区連合と連携し、テープ街宣と個別配布行動等)等を展開する。
《構成産別(単組)》
(a)各産業別部門連絡会や中小・パート労働条件委員会などの諸会議へ必ず参加することとし、非正規労働者の処遇改善、組織化などについて、積極的に情報の開示・交換と共有をはかることに努める。
(b)2013春季生活闘争の時期を捉え、声がけなど職場における日常的なコミュニケーションを深めながら、非正規労働者の実態把握<別掲参照>、非正規労働者との交流機会づくり、職場における教育宣伝の実施などを、労使交渉本格化の前段を中心に取り組むこととする。
(3)労働基準法等の法令遵守の点検を行うとともに、改正労働者派遣法・改正労働契約法の趣旨を理解し、労働条件の点検と正社員への転換ルールの明確化・導入・促進など、法規定を上回る制度の整備等をはかる取り組みを進める。
(4)合わせて、2013春季生活闘争を契機とし、組合員範囲の見直し・加入活動・学習活動など、非正規労働者の組織化に取り組むよう産別(単組)方針に反映すること。
《地協(地区連合)》
(a)地域での世論喚起、街頭宣伝を行い、広く社会にアピールする取り組みを展開する。
 とりわけ、2013春季生活闘争においては、改正労働者派遣法、改正労働契約法の内容を労働組合として労働組合のない職場で働く労働者にも広く周知し、さらに、労働相談及び地域ユニオン等において情報提供や支援を行うこととする。これらの取り組みにより、法の実効性を高めるとともに、労働者の権利実現のためには集団的労使関係の構築が極めて重要であることから、地場・中小労組の企業訪問や会社との団体交渉への参加により、労働者の置かれている実態を認識させるなど、組織拡大の取り組みと併せた行動を実践することを追求する。
(b)連合北海道、各地協において、2月7日(木)〜9日(土)に「連合・非正規労働ホットライン」(テーマ:労働者派遣法、労働契約法の改正)を開設する。また、3月に改正法施行直前の非正規労働ホットラインを開設する。
(2)「パート・アルバイト・契約社員など非正規労働者の待遇改善・組織化調査(単組アンケート)」の実施
《構成産別(単組)》
 一昨年は、震災の影響により、39産別中12産別1地協、87組合の集約に止まったが、昨年は、19産別・109単組から回答を得て、分析結果と好事例ライン作りに向けた把握について提起したところである。
 今次闘争では、前年把握をした現状を踏まえて、各組合の要求内容等について、連合北海道加盟の産別・単組を対象に、パート・アルバイト・契約・嘱託・再雇用など、雇用形態別に「待遇改善・組織化調査(単組アンケート)」を実施する。
産業別部門連絡会にて要求内容の把握と単組交渉の状況・妥結結果などを把握し、指導・連携を強化しながら、処遇改善の取り組みに活かすこととする。
 要求提出時期と併せ、2月末までに産別集約し、関係部門連絡会で活用することとする。
 また、関係産別は、2月28日(木)までに、組織労働局へ報告することとする。
(3)「短時間労働者など非正規労働者の処遇改善に関する要求書(要請書)」の提出【資料】
《構成産別(単組)》
 産別は、全単組において、2月末を目途に要求書の提出を指導すること。
《地協(地区連合)》
 産別に所属しない単組においても、独自様式、あるいは連合北海道で示す「統一要求(要請)書」を参考にして、地協、地区連合が連携を図りながら要求書を提出し回答を得ること。
 構成産別及び地協段階の取り組み集約期限は、1次3月末、2次は解決促進ゾーン後の4月末。集約結果は組織労働局へ報告すること。
(4)「官製ワーキングプアの解消と雇用の安定を求める全道統一要請行動」の取り組み
《地協(地区連合)》《官公部門産別(単組)》
 既に地協・地区連合においては、「最賃履行確保」「雇用の維持・創出」「官製ワーキングプア解消」に向けて、9〜11月を基本に自治体首長への要請行動を展開してきたところである。
 諸般の事情等により未実施の地協・地区連合にあっては、「3.6全道総決起集会」前までを基本として、すべての自治体に対して関連する労働者の処遇改善に向けた要請行動を展開すること。その際、各級議員等とも十分に連携を図ること。
 要請内容については、自治体要請書(総合振興局用)モデル【資料】を参考に提出し、文書で回答を受けるよう取り組むこと。
 また、官公部門連絡会(官公部門関係産別・単組)は、非正規労働者の現状把握から課題解決に向けた取り組みを展開し、組織化に向けた取り組みを具体化する。そのために組織内教宣、学習会の開催など組織内の意思統一を図るとともに、各地協・地区連合と十分連携を図りながら、全自治体における要請行動を展開すること。
(5)「公契約条例制定・公正取引に係る労働者の処遇改善」の取り組み
《官公部門産別(単組)、地協(地区連合)》
 官公部門連絡会を中心に、民間の交渉と連動して、要求書の提出、交渉配置の取り組みを展開すること。その際、公契約条例制定や公正な取引・契約のルールを確立するための要求を行い、中小・地場で働く労働者の労働条件の底上げを図るため、公契約条例の制定や公正取引のための法整備に向けた運動を進める。
特に、「札幌市公契約条例」(2013年2月議会)の内容や「連合本部の公契約条例モデル(第52回地方委員会提出済)」を活用しながら、学習会の開催や関係するシンポジウムへの参加等に取り組むこと。また、この間の基本法制定を求める自治体決議の進捗と、各自治体・議会の現状把握に努めること。
 各地協、官公部門産別は、関係労働者の実質的な処遇確保・改善、組織化を展望した取り組みを展開する。

5.政策・制度の取り組み
(1)安倍内閣の発足と連合が求める政策・制度
(a)12月26日に発足した自公連立の第2次安倍内閣は、経済再生を「1丁目1番地」の政策と位置づけ、「3本の矢」と表する大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を基本方針としている。
 他方で自公政権は、戸別所得補償制度や高校授業料無償化の見直し、一括交付金の廃止など国民生活や地域重視の民主党政策からの転換をはかっている。特に地方公務員の給与減額を求めて地方交付税を削減する考えは、地方から強い反発を招いており、「ひも付き補助金」の復活と併せて、「地方分権」の流れと逆行している。
(b)連合は政府に対して1月17日、「当面の経済運営および予算編成に関する要請」を行い、東日本大震災からの復興・再生の着実な推進をはじめ、産業・雇用政策やディーセントワーク、社会保障と税一体改革、公務員制度改革等に関わる6つの主要課題について実現を求めてきた。要請では、とくに産業政策と雇用政策を一体的に推進し、医療・介護、環境・エネルギー、観光分野に施策を集中して雇用創出と地域経済の活性化を促すことや、雇用創出基金事業の継続・拡充、求職者支援制度の全額一般財源化や若者雇用対策の充実など、働く者のセーフティネットと雇用対策予算の充実を訴えた。
(c)社会保障に関して、「自助」を重視する政府・自民党は、生活保護の支給基準引き下げを検討しており、政府への要請において連合は、現行水準を尊重することと併せて、「生活支援戦略」の策定と予算確保を求めた。
(2)政策・制度実現に向けた連合北海道の取り組み
(a)2013春季生活闘争における政策・制度の取り組みは、地方自治体と経済・産業関係団体や労働関係団体等による連携をはかり、地域で安定的な就労機会を確保し住み続けることができるよう、国や道の実効のある産業・雇用政策の具体化を求めていく。
(b)昨年と同様、「新卒者就職支援、雇用の維持・創出や非正規労働者に関わるキャンペーン」を通じて、商工関係団体や総合振興局・振興局への要請と意見交換を行い、地域が抱える課題を把握し、政策・制度実現の取り組みを進める。
(c)地方経済と雇用が低迷するなか、全国の生活保護受給者が210万を超える水準に達するなど、生活困窮者の増加が大きな社会問題となっている。生活困窮者に対する支援策については、民主党政権時から「社会保障審議会・生活困窮者の在り方に関する特別部会(部会長:宮本太郎北大教授)」のもとで検討が続けられ、1月22日、最終報告書がとりまとめられた。特別部会には連合も参画し意見反映してきたが、自民党政権に交代したことで、部会報告書が提起する政策課題の後退が懸念される。
連合北海道は、2月28日の政策委員会・学習会において、部会のメンバーで元釧路市職員の櫛部武俊氏を講師に招いて講演会を開催し、新たな生活困窮者支援体系の考え方や生活保護「改革」について必要な政策・制度課題を検証していくこととする。

6.公務労働者の労働基本権確立、地方財政確立に向けた取り組み
(1)公務員制度改革の推進
公務員制度改革については、衆議院の解散によって、国家公務員制度改革関連四法案と地方公務員制度改革法案は、残念ながら廃案となってしまったが、引き続き、公務員の労働基本権の確立を求めていく。国家公務員制度改革基本法をはじめとする、これまでの経緯を踏まえ、与野党ともに自律的労使関係の確立について真摯に取り組む責任があり、法案の再提出と早期成立を求めていく。
《官公部門産別(単組)》
 2012春季生活闘争において、連合北海道は、昨年1月に「働くことを軸とする安心社会の実現をめざした全道街宣行動」を各地協(地区連合)の取り組みとして、通常国会に向けた法案内容のチラシを作成し、道民に連合北海道の考え方を訴えてきた。また、2月には、放送大学の道幸教授を講師に、連合北海道公務労協 公務員制度改革学習会を開催してきた。
今次春闘においては、引き続き、粘り強く法案の再提出、早期成立に向けた取り組みを進めることとする。具体的な取り組み内容は、北海道公務労協と協議の上、進めていく。
(2)地方財政確立に向けた取り組み
  自民党は、先の衆議院選挙における政権公約において「5年間を一期とする財政健全化中期計画を作成」し、国・地方の公務員総人件費を年間2兆円削減することを公約に掲げていた。
 この2兆円の主要なターゲットが「地方交付税等の減額を通じた、国家公務員の臨時特例法の反映による地方公務員の給与削減」となっている。また、政府は2013政府予算編成にあたり、国家公務員給与削減措置(▲7.8%)について、地方にも2013年7月以降に同様の措置を要請するとし、地方財政計画、地方交付税の算定に反映(▲4,000億円)するとの方針を確定し、1月24日に臨時閣議を招集し、閣議決定した。
 この間、全国知事会などの地方六団体は、国公と同様の措置の地方への強制については反対の姿勢を示し、この間、政府・政党要請、国と地方の協議の場の開催と意見反映、マスコミへの積極的な意見反映がされている。しかし、政府は、地方に給与抑制を要請する期間の短縮(当初2013年4月〜2014年3月を想定していたものから2013年7月以降を想定)や防災・減災・地域活性化対策等へ使途を限定する形での新たな交付金の配分を行うとして、地方財源にかかる総額は確保したかのような方針を確定した。
 連合は、1月17日、甘利大臣(経済再生担当大臣、社会保障・税一体改革担当大臣、内閣府特命大臣)に対して「当面の経済運営及び予算編成等に要請書」を提出し、その中で、地方公務員給与については、各自治体における労使交渉を尊重すべきであり、国家公務員給与削減を地方財政計画に影響させないよう申し入れを行った。
《北海道公務労協》《地協(地区連合)》《連合北海道》
 2012春季生活闘争において、6度目となる北海道職員への給与削減が、昨年、地公三者共闘の各構成組織に提案されたことを受けて、連合北海道は、人件費削減によらない道財政の再建、地方財政確立の観点で、民主党北海道と連携し2006年から設置している「地方切り捨てを許すな!地方財政確立道民会議」の取り組みを展開した。1)地公三者共闘総決起集会への連帯挨拶、2)北海道知事、教育委員会教育長及び各総合振興局長等への要請行動、3)地域街宣行動などの取り組みを全地協で展開し、春闘の前段闘争と位置付けて多くの産別・単組・地域の仲間が総決起し、連合の存在意義を発揮できたことは意義深く、大きな成果であった。
 今次春季生活闘争においては、民主党政権で復元された地方交付税が、自公政権に逆戻りしたことによって、給与問題を中心に地方向け支出に厳しく切り込む姿勢を打ち出し、地方交付税の削減という問題に直面している。連合北海道は、1月9日に北海道副知事に対する申し入れを行い、地方公務員給与の更なる削減は、道内民間企業の労働者に与える影響が大きく、ひいては地域経済を一層疲弊しかねない問題であると指摘した上で、地方財政確立、地方交付税の総額確保に向けた姿勢を堅持し、国に対して働きかけをするよう要請してきた。
 今次闘争を皮切りに、連合北海道として、地方交付税の総額確保、税財源の確立を求めて、「地方財政確立道民会議」を再始動し、体制の確立、取り組み内容の検討などを行う。
 現段階で考えられる取り組みとしては、a)各級連合推薦議員との連携による諸取り組み・行動の展開(ア.第1回定例会をスタートとして、道内全自治体における意見書採択の取り組み、イ.経済6団体、業界団体への共闘参加の呼び掛け要請行動等)、b)町村会・市長会との連携した行動の呼び掛け、c)北海道選出国会議員団・道議団と連携した道・国・総務省などに対する要請行動などを検討し、取り組みを展開していく。
 なお、その他、参議院選挙闘争を展望した道民運動の取り組みについても、北海道公務労協などと協議の上、別途提起する。

7.雇用確保・創出に向けた取り組み
(1)「新規学卒者に関わる社会的キャンペーン行動」【資料】
《地協(地区連合)》
各地協で開催される「2013春季生活闘争地域討論集会」前段に、(総合)振興局、商工会議所や農協、漁協、NPO団体、高校等への要請行動を、連合北海道と連携を図りながら取り組むこととする。
実施時期:1月24日(網走)〜2月23日(宗谷)までの期間
(2)「北海道地域雇用戦略会議」「北海道労働審議会」等への意見提言
 連合北海道は、1月下旬から始まる「新規学卒者就職支援、雇用の維持・創出全道キャンペーン」で集約した地域・現場の声を、当面、3月14日に予定されている「第2回北海道地方労働審議会」の中で、最大限反映していくこととする。
 また、道、ハローワーク等が開催する就職支援説明会や合同面接会についても、連合傘下組合関連企業へも求人要請を取り組むこととする。
(3)「連合北海道就職活動応援セミナー」の開催
 国内の連合初となる就職活動応援セミナーは、今年1月19日の開催により、第5弾を数えるに至った。連合北海道は、道内の大学新卒者の3年以内の離職率が、全国より5.5%高い34.9%(2009年3月の卒業生:北海道労働局調査)と、3人に1人以上にのぼることから、早期離職や失業に歯止めをかけるために、働いている側から見た仕事や労働条件の実情を紹介し、学生と企業の「ミスマッチ」をできるだけ減らそうという狙いで、未来の組合員を対象としたセミナーを開催している。
 今回1月19日に開催した第5弾のセミナーでは、地獄のノルマ、パワハラ、いじめ、サービス残業、心の病多発、劣悪な環境……、こうした「ブラック企業」をどう見分けたらいいのかをテーマにしたトークセッションも取り入れ、参加した学生からは社会人になっても役立ちそうなどの反響を呼んだ。
 各地域においても、新規学卒者の就職支援、雇用確保に向けた取り組みの展開を追求することとする。

8.ワークルールの取り組み
 民主党政権下だからこそ実現できた「改正労働者派遣法」「改正労働契約法」「改正高年齢者雇用安定法」は、非正規労働者の雇用の安定や処遇の改善、また、希望者全員の65歳までの雇用確保措置を義務付けるなど重要な内容が盛り込まれており、この改正法成立の成果を着実に職場に活かすことが必要である。
このため連合北海道は、昨年11月14日、「改正労働関係法学習会」を開催(道内各地より130余名が参加)し、連合本部の新谷総合局長から、法案成立までの課程での公労使の審議会の役割、連合の関わり、国会での成立の手順、各法案の改正ポイントと考え方の基礎となる判例などの説明、加えて各構成組織・単組が取り組むべき内容(「重要労働関係法成立に伴う今後の取り組みについて」以下、「今後の取り組み」という)が提起された。
 既に1月9日には北海道ハイ・タク最賃協議会で改正労働契約法の学習会(100名参加)を開催し、また、1月12日に自治労北海道「2013国民春闘討論集会」の中で「改正労働契約法」「改正高年齢者雇用安定法」の学習会を開催(250名参加)してきた。
 今後、1月から2月にかけて開催される各地協の春闘地域討論集会の中で、連合本部、北海道労働局、NPO職場の権利教育ネットワークなどの協力により、改正労働関係法の学習会を開催する予定であるが、春季生活闘争において、以下の取り組みを進める。
(1)労働関係法令遵守の徹底
 正規労働者はもとより、パート・有期契約・派遣・請負労働者などについて、改正労働者派遣法、改正労働契約法、パートタイム労働法をはじめとする労働関係法令の改正趣旨を踏まえた遵守を徹底する取り組みを展開する。
 また、障害者雇用促進法に定める法定雇用率(1.8%⇒2.0%)引き上げへの的確な対応とともに障がい者が働きやすい職場づくりへの取り組みを展開する。

法定雇用率適用区分 法定雇用率 実雇用率 法定雇用率
達成割合
法定雇用率達成
機関・企業等数
現 行 4/1以降 北海道 全 国 北海道 全 国 北海道
民間企業 1.8% 2.0% 1.73% 1.65% 48.7% 45.3% 1339/2749企業
国、地方公共団体 2.1% 2.3% 2.38% 2.26% 93.5% 84.4% 186/199 機関
都道府県等の教育委員会 2.0% 2.2% 1.59% 1.77% 75.0% 67.6% 6/8 機関
独立行政法人等 2.1% 2.3% 2.13% 2.08% 72.7% 69.8% 8/11 法人
 ※ 2012年6月1日現在:厚生労働省北海道労働局発表


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