2007春季生活闘争 当面の方針 その1
01.24 第2回闘争委員会
1.はじめに
 
2007春季生活闘争は、労働分配率の改善による付加価値構造の歪みを是正するため、積極的に要求し、果敢に交渉をしていかなければならない。
また、疲弊した勤労者家計を立て直すためにも、昨年を上回る賃金改善を獲得することが必要となっている。
そして、企業間格差縮小に向けた闘い、パートタイマーや派遣労働者の正社員化・処遇改善も重点としなければならない。
自民党は、労組つぶしをはじめている。「連合は全ての労働者を代表していない」と、あらゆる手を使って、“連合運動の無視”を仕掛けている。
しかし私たちは、組織された労働者としての役割と期待を自覚して、公正なワークルールの確立、過重な労働時間の短縮、ワーク・ライフ・バランスの実現により、格差社会から公平・安心・安全な社会への転換をめざしていく。
 
2.最近の特徴的な動き
 
@ 安倍内閣のH19年度予算編成に基本方針に掲げられた「再チャレンジ」は、イコール規制緩和のことであり、労働面では、「労働ビッグバン」として表現されている。その目的は、“あらゆる労働規制をなくす”ことにあり、「多様な就業希望への対応」や「多様な雇用形態で雇用機会拡大」の言葉の裏では、労働法制の抜本改正(改悪)、最低賃金制度の大幅改定、時間に縛られない労働契約(=ホワイトカラー・イグゼンプション)、外国人労働の導入など、わが国の労働環境を大きく変える意図を持っている。特にハローワークの民営化では、ILO88号条約(職業安定組織の構成に関する条約)違反を承知で民間開放をねらっているが、断じて容認できない。
 
A 政府税制調査会は、12月1日に最終案をまとめたが、内容は、減価償却制度の見直しによる企業減税であり、一方で地方税の均等割の引き上げの検討を求め、まさに企業優遇の税制を作り上げようとしている。しかも、企業減税の原資(約6,000億円)ははっきりしておらず、勤労者の給与所得控除の見直しなどに求められる可能性もある。
 
B 日本経団連(御手洗冨士夫会長)は12月19日、07年版経営労働政策委員会報告「イノベーション(革新)を切り拓(ひら)く新たな働き方の推進を」を発表した。その内容は、格差問題に目をつぶる一方で相変わらずの賃金抑制論を展開し、労働分配(=付加価値)を経営側にシフトすることをさらに進めて勤労者の生活を疲弊させながら、「人材力」重要と言うなど、論理が矛盾だらけである。連合は、同日、反論を行った。(「日本経団連「経営労働政策委員会報告」に対する見解」参照)
 また、1月15日に行われた連合と日本経団連のトップ会談では、高木会長は、「いざなぎ景気を超える長期的な好況の一方で労働分配率が抑制され、家計は疲弊し続け、労働者は不信感を募らせている」とした上で、「非典型雇用の拡大による低所得層の増大は、格差社会の一因でもあり、企業の雇用政策によるところが大きい。経済界には真摯な対応を求める」と述べた。また、「経営側が過重な時間外労働を放置したままホワイトカラーイグゼンプションの導入を求めるのは論外。自由な働き方とは、いわば自由な働かせ方であり、使い勝手をよくすることばかり考えているのではないか」と批判した。さらに、経済財政諮問会議のいわゆる「労働ビッグバン」の議論について、「生身の人間が関わる労働は商品ではない。市場原理主義的な議論が将来に禍根を残さねばいいが」と懸念を示すとともに、『希望の国、日本』(御手洗ビジョン)について、「企業業績の回復は、家計部門の大きな犠牲の上にある。生産性向上に異論はないが、その成果の社会的配分の視点が希薄だ」と指摘した。
 一方、御手洗会長は、「役員報酬や株主配当割合の増加は、不況の間にカットした分を戻しただけで、それを配分構造の歪みと捉えるのはミスリーディング。企業の復活程度には差があり、それを踏まえて個別の労使が話し合って決めるという原則を壊してはならない」と述べたが、これに対して高木会長は、「そうした捉え方もわかるが、社員・従業員もまた労働条件の悪化や原資配分の減少を我慢してきており、片一方に偏した言い方ではないか」と反論した。
 
C 年末に厚生労働省の所管する労働政策審議会の各分科会で、166国会に向けた労働関係法制の改正に関わる建議が出された。労働契約法では、就職から退職に至る様々な面で、契約に関するルールが決められようとしているが、就業規則を労働契約の中心的手段とすることなどはとうてい認められないことである。また、労働時間では、「日本版ホワイトカラー・イグゼンプション」の導入が目指されており、長時間労働を助長するものとして、認められないものである。
 また、パート労働法では、いわゆるフルタイムパートの差別的取り扱い禁止など前進面もあるが、平等待遇とはほど遠い。最賃法関連では、地域最賃のセイフティーネットの機能強化(生活保護との整合)と産業別最賃の継承は確保できたが、まだまだ水準には不満が大きい。
 このような労働関連法制の大幅な変更や改悪に対し、民主党との連携を強めて国会闘争と世論への訴えを強める必要がある。
 
3. 当面の闘いの進め方
 
 07春季生活闘争は統一地方選挙と同時期の闘いとなるが、可能な限り方針に沿って連携した闘いを展開するものとする。特に、地場中小組合は、闘争日程の前倒しに取り組む。
 
(1) 前段闘争の取り組み
 
 各組合は、1〜2月を中心に職場点検活動を行い、法律・労働協約の遵守、安全問題への対応を徹底し、公正なワークルールを確立する。今年度は、とくに、@偽装請負の排除に向けた法律遵守と雇用・労働条件の確保と、A36協定の総点検運動に取り組む。
 連合は、中小・地場組合の点検活動を支援するために、必要な器材(チェックリスト含む)を準備する。
 
(2) 要求の提出と回答引き出しゾーンの設定
 
 連合北海道の07春季生活闘争方針に沿い、要求提出は以下の基準とする。
 
@ 要求書は、原則、2月末まで、遅くとも3月末までに提出する。
A 賃金要求目安(常用)
 ・賃金カーブの算定が可能な組合 
   賃金カーブの確保・カーブ維持分の労使確認+賃金改善分2,500円以上
 ・賃金カーブの算定が困難な組合
   7,000円以上
   賃金カーブの確保相当分4,500円(目安)+賃金改善分2,500円以上
B 賃金要求目安(パートなど時間給)
 ・絶対額で1,000円をめざす。
 ・全従業員対象の企業内最低賃金協定の締結や改善を獲得する。
 
 また、以下の回答ゾーンを「地場集中決戦」に設定し、闘いを進めていく。
 産別・単組は、この回答ゾーンを踏まえて、交渉日程の調整や必要な戦術設定の準備を行う。
 
3/14〜17:第1のヤマ場
3/19〜31:第2のヤマ場
4/ 2〜 7:第1次解決促進ゾーン
4/16〜21:第2次解決促進ゾーン
 
(3) 中小・地場共闘、パート共闘の取り組み
 
@ 地場中小組合は「交渉マニュアル」を有効に活用し、春闘体制の強化をはかる。
A 中小共闘への参加産別は、2月末までに連合北海道を通じ、連合中小共闘センターに登録する。
B 登録組合は、賃金実態の正確な把握を行うとともに、各回答引き出しゾーンへの対応、解決促進ゾーンにむけた体制の整備をはかる。
C 連合北海道闘争本部は、3月段階で、連合本部の提示する妥結基準、妥結ミニマム基準を参考に、闘争委員会で北海道水準を設定する。また中小パート対策委員会の場で具体的な進め方を協議する。
Dパート等の短時間労働者の時給要求は、1)絶対額1,000円程度、2)上げ幅15円程度、3)全従業員対象の企業内最低賃金協定(目標850円)のどれかに取り組む。
 
(4) 道内課題の取り組み
 
@ 公務労協の提起する「公共サービスキャンペーン」に取り組み、当面は学習会を06年の未開催地で開催する。
A 市町村議会において、公契約条例の制定と総合入札制度導入を重点にして取り組みを進める。
B 「下請法」と偽装請負問題の合同学習会を開催する。
C ハイタク最賃協議会の学習会を開催し、最賃への理解を深めるとともに、就業規則等の制度の点検と労働協約による企業内最賃の実現に努める。
 
(5) 労働なんでも相談・ワークルール街宣の取り組み
 
@日時 2月9(金)・10(土)日 午前8:00〜午後7時
A場所 ほくろうビル 5階 連合北海道会議室
B街頭宣伝 2月8日 12:00〜パルコ前
※ 2月5日〜10日の間、なんでも相談・ワークルール・パート春闘の流し街宣を実   施。(テープ作成)
※この他、6月まで毎月1回以上の街頭宣伝行動に全地協が取り組む。
4. 当面の日程
 
(1) 北海道関係
 
1月24日 第2回闘争委員会(第3回執行委員会)
1月26日 北海道ブロック代表者会議
1月27日 格差社会を考えるシンポジウム(夕張市)
2月14日 第3回闘争委員会(連合北海道第4回執行委員会)
3月07日 07春闘全道総決起集会
(2) 本部関係
2月 6日 第1回拡大戦術委員会
2月 8日 第3回中央闘争委員会
3月 6日 第3回戦術委員会
3月 8日 国際女性デー全国行動・中央集会