<解雇予告除外事由 2> |
「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき事由であるが、判定に当たっては、労働者の地位、職責、継続勤務年限、勤務状況を考慮の上、総合的に判断すべきであり、「労働者の責に帰すべき事由」が法第20条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものであり、従って又使用者をしてかかる労働者に30日前に解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して均衡を失するようなものに限って認定すべきものである。「労働者の責に帰すべき事由」として認定すべき事例を挙げれば、 |
(1) |
原則としてきわめて軽微なものを除き、事業所内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合。また一般的に見て「きわめて軽微」な事案であっても、使用者があらかじめ不詳事件の防止について諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、しかもなお労働者が継続的に又は断続的に盗取、横領、傷害等刑法犯又はこれに類する行為を行った場合、あるいは事業所外で行われた盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、それが著しく当該事業所の名誉もしくは信用を失ついするもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失させるものと認められる場合。 |
(2) |
賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合。これらの行為が事業所以外で行われた場合であっても、それが著しく当該事業所の名誉もしくは信用を失ついするもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失させるものと認められる場合。 |
(3) |
雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合。 |
(4) |
他の事業へ転職した場合。 |
(5) |
原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合。 |
(6) |
出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合。 |
の如くであるが、認定に当たっては、必ずしも右の個々の例示に抱泥することなく総合的かつ実質的に判断すること。
なお就業規則に規定されている懲戒解雇事由についてもこれに拘束されることはないこと。
(昭和23.11.11基発第1637号、昭和31.3.1基発第111号)
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